新しい年になりました

気付けば2014年1月も後半、バタバタしているうちにどんどん日々が過ぎて行きます。

この頃よく思う事なんですが、複製された商品の価値ってどうなの?というこで
ヴァルター・ベンヤミンが『複製技術時代の芸術』の中ですぐれた芸術作品がもつ魅了というか神聖というかなんて訳されていたかわすれましたがその場の一回性のことを「アウラ」と呼んで複製技術の時代にそのアウラが失われていくというようなことを言っていたと思うのですが、そんな話に関係なく大量生産大量消費の時代には、安く簡単に手に入る複製製品に価値がありました。誰もそこにアウラがどうこうなんて言っても思ってもいなかったのですが、

今、多くのものがデジタル化され簡単に複製されるようになって価値観が大きく変わってきたのではないか、複製されたものの価値が急激に落ちているのではないかと思いまして、結局それはつまりアウラを失ったことが起因しているのかもしれないなと。

前置きが長くなりましたが(というかほとんど話は終わっていますが)
昨年末、音楽イベントの仕事をすることがあって、音楽業界の方々と3ヶ月ぐらいお付き合いする中で時代は変わった?変わりつつあると改めて強く思いました。

音楽は録音技術の進化により、音楽を楽しむ形態はレコード→CD→デジタルデータと進んでいますが、
音楽メディアの進化により、世界中のどんなアーティストの音楽も場所、時間をとわず楽しめるものになり、一流ミュージシャンやアイドルの音楽を複製、大量販売することで大きな音楽産業がうまれたはずですが今やその音楽業界が非常に苦しんでいます。

デジタルデータは手軽にダウンロード、コピーできるし無料動画サイトで検索すれば聞きたい曲はたいてい聴くことができる。

結果、多くの人が音楽を正規に購入しないという現象がおきています。

ただこれとは別にCDは売れないが、ライブイベントは即日完売になるような現象も一方ではあります。

つまり大量コピーされたものの価値がどんどん下がり、ライブのようなその場一回限りのものに多くの人が価値を見出している。

音楽を録音し大量にコピーして大量に販売するような効率よく大儲けするためのスキームが壊れ始めている。

天野祐吉さんが「成長から成熟へ」という事を言っていましたが、まさに価値観を変えて行かなければいけないんだろうなと

時代とともに進化・成長してきたたつもりでいて実はもっとも原初的なものの方に価値はうつりはじめているのかなあと

家庭用ビデオも容量が決まっていた頃はそれなりに価値があったかもしれませんが無限にアーカイブできる時代にDVDやハードディスクにちまちま個人で録画登録することが既に馬鹿らしいことにも思えます。(結果見ない番組の山になるでしょうし)

多くのものがデジタルデータ化され、大量にストック、検索できる時代にこそその場一回限りのものに価値がある。一周回ってそういう時代になっているのかなあと

長々書きましたが、そんなことを年末に感じそして今頃言葉にしているのでした。